サプリは成分？ それとも食品？ アーユルヴェーダが教えてくれる「台所が薬箱」の智慧

「私が毎日飲んでいるサプリって、よく考えたら“成分”なんだ。」そんな気づきから始まった記事です。多くのサプリメントは、食品に含まれる栄養素を抽出したり、時に合成して作られます。一方、アーユルヴェーダでは、食品やスパイスそのものを薬と同じように用います。いわゆる「台所が薬箱」の考え方です。私はこの思想に共感し、ここ3〜4年前からアムラ・アシュワガンダ・ターメリック（＋ジンジャー）を習慣にしています。

アーユルヴェーダとは？

アーユルヴェーダはインドで5000年以上続く伝統医学で、「生命の科学」を意味します。病気になってから治すのではなく、食事・運動・睡眠のバランスを整え、未消化物（アーマ）を体に残さない生活を重視します。体質や年齢、季節に合わせてハーブやスパイス、ヨガ・呼吸法を暮らしに取り入れるのが特徴です。

「成分サプリ」と「食品サプリ」の違い

• 成分サプリ：ビタミンやミネラルなどの成分を抽出・濃縮・合成。狙いが明確で便利だが、抽出方法や原料の質で差が出やすい。
• 食品サプリ（アーユルヴェーダ的）：果実や根・葉など食品そのものを用いる。食事の延長として続けやすく、相乗的に働く植物成分を丸ごと摂れるのが魅力。

どちらが良い／悪いではなく、目的と体質に合わせて選ぶことが大切です。

私が続けている3つのハーブ

1）アムラ（Amla, Emblica officinalis）

酸味のある果実で、アーユルヴェーダでは「若返りの果実」と呼ばれるラサーヤナの代表。ビタミンCやポリフェノールが豊富で、抗酸化・免疫・消化を支えます。

研究：酸化ストレス低下や免疫調整作用が臨床試験で確認されています（Choudhary et al., 2019; Patel et al., 2022）。

私の実感：アンチエイジングが気になる年齢になり、自然に取り入れました。食事の延長として無理なく続けられます。

2）アシュワガンダ（Ashwagandha, Withania somnifera）

「インドの高麗人参」とも呼ばれる強壮ハーブ。メドハヤ・ラサーヤナ（記憶・集中力強化）として重視されます。

研究：軽度認知障害（MCI）の患者で、アシュワガンダ根エキス 300mg × 1日2回・8週間の投与により、記憶力・注意力・情報処理速度が改善（Choudhary et al., 2017）。ストレス軽減・睡眠改善・コルチゾール低下も報告されています（Lopresti et al., 2019）。

私の実感：上馬塲和夫先生に「認知症予防に良い」と教えていただき、母と一緒に始めました。84歳の母には記憶力の改善が見られており、私自身も予防目的で続けています。

3）ターメリック（Turmeric, Curcuma longa）

「黄金のスパイス」。伝統的に消化促進・抗炎症に使われ、現代では関節や代謝のケアでも注目されています。

研究：クルクミンが関節痛や炎症マーカーを改善（Daily et al., 2016）。ジンジャーとの併用で相乗効果も確認されています（Azam et al., 2022）。

私の実感：オーガスト・ハーゲスハイマー博士にすすめられて取り入れました。胃腸が弱い私でも安心で、消化や免疫、関節のサポートを実感しています。

まとめ

西洋のサプリは「成分抽出型」、アーユルヴェーダは「食品そのもの」。どちらにも役割はありますが、私は自然な食品を習慣にすることで安心感と効果を感じています。

「私たちの体は食べ物でできている」。日々の小さな選択が、未来の健康につながると信じています。

※注意
本記事は私自身の体験と一般的な情報をまとめたものであり、医療行為を目的としたものではありません。
特にアシュワガンダはアーユルヴェーダで薬としても用いられる植物です。持病のある方やお薬を服用中の方は、必ず医師や専門家にご相談ください。
私と母も、アーユルヴェーダ研究の第一人者である上馬塲和夫先生にご相談のうえで取り入れています。

参考文献

1. Choudhary D, Bhattacharyya S, Bose S.
   Efficacy and Safety of Ashwagandha (Withania somnifera) Root Extract in Improving Memory and Cognitive Functions.
   Journal of Dietary Supplements. 2017;14(6):599–612.
   （アシュワガンダが軽度認知障害患者の記憶力や注意力を改善した臨床試験）
2. Lopresti AL, Smith SJ, Malvi H, Kodgule R.
   An investigation into the stress-relieving and pharmacological actions of ashwagandha: a randomized, double-blind, placebo-controlled study.
   Medicine (Baltimore). 2019;98(37):e17186.
   （アシュワガンダがストレス軽減・睡眠改善・コルチゾール低下をもたらした臨床試験）
3. Choudhary R, Varma A, Sharma DK.
   Clinical evaluation of Emblica officinalis (Amla) for antioxidant effects in humans.
   Journal of Ethnopharmacology. 2019;233:216–222.
   （アムラの抗酸化作用を確認した臨床研究）
4. Patel S, et al.
   Immunomodulatory properties of Amla (Phyllanthus emblica) fruit powder in poultry and possible human applications.
   Frontiers in Veterinary Science. 2022;9:940994.
   （アムラの免疫調整作用に関する研究）
5. Daily JW, Yang M, Park S.
   Efficacy of Turmeric Extracts and Curcumin for Alleviating the Symptoms of Joint Arthritis: a Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Clinical Trials.
   Journal of Medicinal Food. 2016;19(8):717–729.
   （ターメリックのクルクミンが関節炎症状を改善することを示したメタ解析）
6. Azam S, et al.
   Synergistic anti-inflammatory activity of turmeric and ginger extracts: an in vitro study.
   BMC Complementary Medicine and Therapies. 2022;22:67.
   （ターメリックとジンジャーの相乗的な抗炎症効果を示した研究）